あたしが唯一、あたしよりもずっとずっと美しいと認めている女の話をしましょうか。
たぶんあたし、あの子に一生勝てないし、憧れ続けるしかないの。
あたしが美しくありたいと願うのは勿論あたしのためだけど、1番はじめにね。
あたしの姿を呪って呪って呪って、愛せるようになったのはあの子のせいで、おかげよ。
ただあの子に近付きたかった。あの子の人生に何としてでも食い込んで、歯型ぐらい付けてやろうってもう決めちゃった。
もう何年の付き合いになるかしら。
あの子は優しい女の子だから、あたしみたいにキツい女は怖かろうと思ってたのに、意外とそれが良いんだって。ファミーは難しい言葉を使うね、ってわかったようなわからないような顔してる。わからなくていいんだけどね、あたしが思うことを等身大で伝えたらきっと怖い。
本当に、綺麗な女よ。ひまわり畑でいちばん背伸びをしているひまわりね。女の子はみんな笑ったら可愛いものだけど、あの子の笑顔は混じり気がなくてすごく大きく見える。
日本の子じゃないから、はしばみ色の目をしてて、笑っちゃうくらい二重幅が広いの。まつ毛もうんと長くて、やったことないけどマッチとか3本ぐらい乗せられちゃうわよ！
骨格はナチュラルで、指が長い。あの子はゴツゴツしてて嫌だ、って言うけど、あたしは指輪がゴージャスに見えるから良いと思う。そう言ったら、「ファミーがそう言うなら、じゃあ好き、わたしの指！」と大げさに腕を振り回したのを覚えてる。なんでそんなに素直なのかしら。
あたし、あの子に救われたのよ。
可愛くなかったころ、何も上手くいかなかったころ、あたしがあたしのこと好きじゃなかったころ、あの子はあたしよりあたしを好きだった。
打算なく、真摯に手を差し伸べ続けられるあの子を尊敬してるの。今でも、あたしはあの子みたいに誰かを助けてあげられるかわからないわ。
あの子にはなれないけど、あの子みたいになりたい。
優しくて、綺麗で、素直で、頑張り屋で、ちょっとおバカで、人に頼るのが上手くて、いつも周りに誰かが居る。
あの子はいつも何を考えているのかしら。実は誰も見ていないところでものすご～くダメ人間だったりしてくれないかしらね、あたしそれでも、あの子のこと愛せるから、一度見てみたいわあ。
あたしの一生、ずっと頭上に咲くひまわりのあの子。
あたしに時々影を落として、差し込んだ陽光がはしばみ色に反射して、たぶんずっと、綺麗。
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