先日、一世を風靡というか、一Twitterを席巻した衝撃の作品、藤本タツキ先生の「ルックバック」。
もしまだ読んでいない子が居たら、ぜひ下記リンクから読んでみてちょうだい。
マーケティングでも何でもないから、あまり心配せずに。
読んでくれたかしら。
さて、どこからどう、何を話したらいい?
元々このブログは人の役に立つように、なんて高尚な考えで書いてるわけじゃないから、役に立たないことはいつもとあまり変わらないんだけど…たぶん、今回は本当に、これっぽっちも役に立たないわ。ただのあたしの日記を覗いてる気でいてね。
一通り読んで、あたしすごく苦しくなったの。
なんて言えばいい?言語化がすごく難しい。難しいし、こころの中のこれを隅々まで言葉にして吐き出したらあまりにも鋭い気がして気が引ける。
わかるかしら、このきもち。
うそ、やっぱりわからなくていいわ。不毛だし。
何から何まで、全部「そう」だったわ。
覚えがありすぎるの、刃物を振り回したあの男にすらあたし、覚えがある。
500年以上かけてゆっくり昇華して消化して消火した気持ち全部、この作品ひとつでまた引きずり出された。悔しいし、苦しい。
そういえばって思い出した、あたし誰かに認めてもらうのが好きだから、絵を描き始めたのよ。
他のことだって人並み以上に出来たけど、ほら、ネットの外とかで絵を真剣に描いてる人口って案外そんなにいないでしょ。だからより珍しがられて褒めてもらえたの。効率良かったのよ。
それであたしってすごいって過信して、(実際あたしはすごいわよ 可愛いし長生きだし)環境が変わったらあたしより全然上手いやつに会って、あたしなんか歯牙にもかけてなくて、そのくせして捻くれてないから、あたしがバカみたいだった。
勉強も運動も容姿も、大体そいつより上手くいってるのに、たったひとつ、恐らく、絶対に、勝てない。
もちろん絵なんて勝ち負けじゃないわよ。勝ち負けじゃないけど、あるでしょ、そういうの。
段々そういうので勝手に傷つくことが増えてきて、こころをゆっくり時間をかけて絵から剝がしたの。何百年も続けた趣味を、今更やめられないけど、嫌いになりたくないし。
もちろん努力は今も昔も変わらずしてるけど…いやでも、昔の方がやっぱり「本気」だったかも。認めたくないけど。
今の方が筆が早いのは、上手くなったってこともあるけど、たぶん「イイところで諦める」をするようになったから。限界をね、見ないようにしてる。傷つくから。
歳をとるたびに、挑戦って恐ろしくなるのよ。
なんてことをね、やってるあたしもどうもバカらしいからあまり見ないようにしてたのに、やっぱりふと、こういう作品を見て掘り起こされるのよね~。やめてよ。
作中に「絵画が自分をバカにする声が聞こえる」って言って刃物を振り下ろした男がいるでしょう。本質的に、あたしはあの男と一緒よ。
あたしを傷つけようとする意図なんかこの作品にないに決まってるのに、あたし勝手に傷ついた。
たまたまあたしの手にナイフとかが無かっただけで、こころの種類は一緒よ、きっと。
叱られてる気分になるの、あんまりにも「そう」だから。
もっとイヤだったのは、この作品を描いたのがあの「藤本タツキ」だった、ってこと。
だって、チェンソーマンとかファイアパンチの作者よ。学生時代は脳内で漫画を何本も連載してたって、はなから漫画の天下人じゃない。
そんなひとが、こんな複雑で鬱屈とした藤野のきもちを描けるのがイヤだったの。
だってたぶん、あたしが思うに、この気持ちって経験したひとにしかわからないし描けないのよ。
あの藤本タツキですら、こんなささくれた心を持ったことがあるってこと?
そんなの、まるで普通の人みたいでイヤだった。
他のルーキーの漫画家ならまだよかったの、そうよねわかるわかるって言えるの。
でもあなただけはダメじゃない?
あなただけは、この気持ちを描いちゃダメよ。
あたしたちにとって雲の上みたいなあなたが、あたしたちと同じ心を持って同じ土俵に居たとしたら、どうしたらいいのよ。
せめて高嶺の花で居てほしかったの、よく見かける神絵師ってことば、あんまり好きじゃないんだけど、たぶん心の防衛機構だってようやくわかったわ。
最初からステージの違う「神」だと思ってれば、たとえば戦って負けても苦しくないでしょう。負けるのは当たり前よ、神なんだもの。
努力しきれなかったことを言い訳できなくなるから、こっちに来ないで。
なんてことをね…こうやって言語化するのに結構時間がかかったわ。
はじめ読んだとき、ただ漠然と苦しかったけど…やっぱりすごくいい作品だから何度も読み返すうちに段々ささくれの正体がわかってきた。
だからこうやって書き記して治療中ってこと。
良かったところを上手く書けないのは、たぶんまだあたしが子供だからなの。
全体的に恨み節みたいな感じになってしまって悪いんだけど、ルックバック、本当に本当に本当にいい作品だったわ。悔しいぐらい!
再確認したわ。
あたし多分、傷ついた分だけまだ絵を描ける。本気で痛いもの。
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